小学校では、冬の学校行事に『兎追い』があった。

     5、6年生の中でも選りすぐりの男子が 『網隊』となり、
     世話役の大人と一緒に、午前3時半頃から 網を仕掛けに
     先に山へ入る。
     竹で兎を追う『勢子隊』は 夜明け前に現地集合し
     空に星を見ながら できるだけ静かに山へ向かう。

     太鼓の合図で、一斉に「チョーイチョイチョイ・・・」と
     掛け声をかけ 竹で地面を叩きながら、
     隣の人との間隔を開けないように ゆっくり進んでいく。
     少し明るくなってきた。友達の顔がはっきり見える
     足の先が凍えて痛くなる。手袋をしている手も痛い。
     「うさぎ!」
     誰かが叫び 飛び出して追いかける数名の男子。

     その年、めずらしく 2わ 兎が獲れた。


     兎狩りの後は、学校に帰り、全校生徒が校庭で 
     「兎飯」(炊き込みご飯)を戴く。
     この兎飯に入っている肉は 兎の肉という噂だったので、
     それまで兎が獲れた年には さすがに女子は
     肉だけよけていたが、
     その年に ふと気が付いて見てみると、肉になったはずの兎は 
     校庭のオリの中で、元気に 
     ぴょんぴょん跳ねているではないか!
     「やっぱ 鶏肉だけ〜ん!」
     ・・・やはり歌のとおり、兎飯は 美味しかった(誤)。
     ちなみにこの日に限り、お代わりすればするほど英雄になる。
     給食の米飯プレート11杯が その年の記録だった。
     (私じゃないってば)
 

     兎追いも 私達が中学生くらいになると、
     兎も獲れないし 行事としてはきついので
     いづれは なくなると聞いた。 

     風呂敷で腰にまいたオニギリの朝ご飯も、
     藪の中で立ったまま食べた。
     その立ったまま食べた ひしゃげたオニギリに沁みた
     梅干の赤と、沢庵の黄色。
     あんなに美味しいオニギリは もう食べられない。





                    

                           HOME



[PR]看護師の好条件求人なら:転職活動不安ですか?なんでも相談OK!